キン肉マン 第70話 パロ・スペシャルの真価!の巻 「満場の人々よ とくと見よ!」

「師弟でつくった、最強の必殺技(フェイバリット)!!」
まま合ってる。(過去話の度に設定が変わるのを見ながら)

 今作の担当編集は、バリバリ直撃世代ゆえにあの設定この設定を指摘して活かしているとのことだが、今シリーズのウォーズマンvsポーラマンはその指摘で乗ってる脂の一つの到達点だろうか。
この一戦、超人オリンピックから現在に至るまでのウォーズの因縁が幾層にも重なっていて、それを乗り越えんとする壮大なメタ的構造、これを作りきってるようにしか思えないからですよ。


生きて勝とうとするウォーズマン

 悪魔超人シリーズの「なーに……地獄で会えるさ」から王位争奪編、さらに究極の超人タッグなど、戦に臨む際の彼の心境は『死ぬ気を込みで行動している、死んでも構わない』点が多く見られます。
黄金のマスクシリーズで自身を犠牲にプラネットマン打倒の鍵を掴ませる、
超人墓場で槍の雨に遭いながらキン肉マンを救う、
アニメ版ではシベリアの地吹雪など。
死ぬ気の時に限ってなかなか死なない事が多い気がするけど、人生ままならないんでしょう。色々あったけどまだ二回ぐらいしか死んでないな……
 しかし今回ポーラ戦では、幽霊だかイマジナリーだかよくわからないロビン師匠のイメージに救われ、師匠の意志を継いで生きて命懸けで戦うことを新たに決意しました。


いろんなトラウマ

 ロボットでも超人でもないロボ超人である自分の素顔に強い劣等感を持つウォーズは、超人オリンピック決勝戦でわだかまりが解け、ありのままの姿を晒しました。これで今までの愚かしかった実感を吹き飛ばしたかに見えたが、夢の超人タッグでは覆面狩りの憂き目に遭い、トラウマは特に治ってないという事実が発覚……

その後王位争奪編、また2世の時代においても其れを克服したのかどうか具体的に描かれることはありませんでした。
 設定が腐ってしまったのかと思いきや、今週の土壇場で素顔晒しが飛び道具として登場。不幸にも超人オリンピック決勝戦のシチュエーションが再現され、おまけにポーラマンの技に「覆面狩り」の異名を付けさせる始末。さすがだな完璧超人きたない。
トラウマを重ねるために無理矢理描写した臭いもするが、しかし今シリーズの彼はこの二段重ねの精神攻撃を物ともせず、必殺技を固持し続けます。超かっこいい。
 ネプチューンマンは久しぶりのチラ見せがワーハハハと調子に乗ってる頃の光景ばかりでいいのか。


今明かされる真のツンドラの墓石

 やたらムキムキな人達にかけてはキマらない回数が多かったパロ・スペシャル。
今週は「心に迷いがあったため、100%の力を発揮できずにいた」と説明され、とうとう2世のOLAPを彷彿とさせる腕を完全破壊するフィニッシュ『ジ・エンド』を決めるにまで至りました。たしか、マッスルグランプリの逆輸入?
この姿は、超人オリンピック決勝戦においてクリーンファイトに鞍替えした末キン肉マンに仕掛けたパロ・スペシャルまでの流れを徹底的に対比にかけています。『蟻地獄ホールド』の異名の元ネタがその同試合なので、全てではないにしろ意識していると思われます。
制限時間を超友情で越え、心の迷いを受け継いだ意志で屠り、あの時決められなかったパロ・スペシャルが完全に決まる。超人オリンピックのifと札付けても差し支えない美しい構図です。
 降雨のタイミングは別に合ってませんがそこはまーノイズで。


動物超人を越えてゆけ

 ロビンが体を張って伏線を作ってくれるまで読者間ではヤバい臭いが満載だったウォーズマンvsポーラマン。
バッファローマンから始まり、マンモスマンの角で再び病院送りにされるウォーズに対する、動物モチーフ超人のメタカードっぷりが半端なかったからですね。
究極の超人タッグでは救う対象であるこれも動物系のセイウチン、相棒に加えていたが裏切る幼児のマンモスマン、おまけで覆面狩りを受けたネプチューンマンを混じえた、もう駄目な予感しかしないタッグ戦に挑んでやっぱり病院送りになったし、作者ゆでは2世の頃から結構天邪鬼な節も見られるので、ロビン戦からやたらスローになった話の展開にビビりながら読む羽目に。
 これも今週でジ・エンドを決め、作品外からのメタ現象も越えたことを現してくれました。
 2世のウォーズマンは結局なぜ意識不明なんだろう。


まとめ

・いつもの『死ぬ気』を越えて受け継ぐために戦い出す
・かつての大イベントの二重の精神攻撃を受け切る
・当人の転機であった試合の構図を取りまくる
・ジンクスだった動物超人を越える
これらの因縁の消化が重層構造となって一度に吐き出され、今回のウォーズマンの勝利に格別の達成感を味付けている。
展開スピードを考慮しないなら、超人を再評価する今シリーズの中でもネタの連繋・昇華の仕方は一番重厚で読み応えがあった。

テリーvsラジアルでの横軸のストーリーの進捗やラーメンマンまでのスピード感が失くなったのは読後感がちょっと手痛い。来週分でシリーズ第3弾が出始めるだろうけど、ここから全陣営今に近いペースで再戦するのは、ストレスになるかも。
マキバオーWもブロックバスターの捨て駒感がすごい酷いけど、面白いからなー。一緒にテンポよく面白くなってほしいんですよねー。
ストロング武道氏早く来てくれ。




今週のかわいいクマ