祝発売 クレヨンしんちゃん大全2020 増補版

 2011年発売された【クレしん大全】が12年以降の沿革が補填された新版としてまた発売されました。

クレしん界隈外でも話題になったスタッフ・キャストである中島かずき高橋渉湯浅政明小林由美子らの最新インタビューや『新クレしん』がようやく特集されてます。「待ってました」と言わざるを得ない。

 後期原作や『新クレしん』に関わった鈴木健介インタビューも良い。編集部時代ではなかなか語られなかった後期の臼井儀人の話が読めたし、近年のクレしんライセンス事業のアレコレも興味深い。

 

 中島かずきはフォーゼやらグレンラガンやら脚本業がよく話題になるけど、今回双葉社編集・プロデューサー時代の側面を切り取ってるところを読めたのは個人的にクリティカル。『オトナ帝国』『戦国大合戦』からの脱却を早めに考えていたとのこと。まぁ、そうなるよね。

 一番期待してたのは『ユメミー』担当の高橋渉ですが…

「(『ロボとーちゃん』の山場は)中途半端じゃダメだな。よし五木ひろしロボ出そう」って言って吉田有希(シンエイのプロデューサー)に引かれてる風で笑った。クレしん道は正気にして成らず……

 

 『オトナ帝国』の例のシーンで有名かつ、近年も作監として活躍している末吉裕一郎氏の記事もアリ。若手アニメーターの紹介までされていて面白い。

 

 できることなら中弘子や阪口和久などの脚本家目線のインタビューとかUYスタジオって一体どうなってんの?ってところを見たかったけど…特に後者は10年経ってこれだからクレしんが終わる時まで明かされるチャンスは無いだろうなと思う。仕方ないね。

 しかしとにかく、界隈以外のお外に波及されにくいクレしんの話をじっくり読める機会があるのはいいことです。30周年の新展開や『ラクガキングダム』を楽しんでいきたいと思います。

 

 

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キン肉マン 第315話に見たデキる叔父さんスタイル

 聖闘士星矢が好きな自分としては「神と戦う」って字面に胸が高鳴りますね。2chが流行る以前あたりは、オリュンポス十二神と戦う同人を探したりSSを読んでたりしてました。

それが現在、キレキレのアングルを見せてるキン肉マンの大イベントとして扱われるというのは、豚カツ頼んだらステーキもおまけでついてくるような豪華さですよ。もう無事連載が終わるまでおいそれと死ぬわけにはいかなくなりましたね。最低5年かな。

まぁ、それはそれとして今週はもう一つ鮮烈な出来事がありますね。サダハルが久しぶりに顔を出し、とうとうスグル&アタルと面談する機会が訪れました!

 

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 まずは孫も同然のスグルに向けて気さくに挨拶。

所属団体が違う以上ベタベタするわけにもいかないので、ちょっとお小言を入れておくのも忘れない。スグルに関しては甘やかしても仕方ないですからね。付き合い少ないのに切り替えが早いです。

 

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 スグルにとってサダハルは尊敬すべき大叔父ですが、同時に熱闘甲子園で血と汗を流しあった新しいライバルでもあります。後者の方がすんなりと話せるのかスグルも一瞬でシリアスな顔になる。

相手の親しみやすい分野を察して切り替えられるのはデキるコミュニケーションですね。

 

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 そしてアタル兄さんと初の対面。褒めちぎってます。

アタル兄さんは弟を庇い多くを語らないタツノリの側面と、キン肉族を捨てて道なき道を走り、表舞台に出られなくなったサダハルの側面を併せ持つハイブリッドな人なので、サダハルにとって感じ入るものが人一倍あるのでしょう。

「弟に咎を押しつけてしまったダメな兄」と自負してるのもタツノリとそっくり。身内好きといってもここまで他人を褒める場面は希少です。実質サダハルとタツノリの間の子ですからね。本人がそんなん考えてたとしたらヤバすぎるな……。

 ていうか「悲劇の運命を辿った兄弟」ってプロットでここまで兄貴大好きな弟ってそんないますか?

実の兄弟に清廉とまで言っちゃう奴見たことないんですけど。そも、わざわざ清廉って付け加えるあたりがこう……お前さぁ……

 

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 ヌルっと兄語りを始めてしまい回想が挿入されそうですが、そこは話の主題を見誤りませんでした。

そんなことと言うからにはマジで玄関先の挨拶感覚だったようです。

こんなナチュラルに兄語りを始められるとブラコンというレベルでは表現できないっていうかこれから先兄離れできるのか心配になるんですが

肝心の兄は先立ってしまってるのが難ですね……永遠になってしまったものは大抵強いから……。

騎士竜戦隊リュウソウジャー TVシリーズ完結によせて

 先にハッキリ言う。

1年間お"い"し"か"っ"た"ぞ"!"!"!"!"

1月から最後までもう泣いちゃった話ばかりで…

 

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 最悪だぜ…スーパー行ったらリュウソウジャーふりかけしか無いなんてよ…

 

 リュウソウジャーの個性的なつくり

 リュウソウジャーといったら戦隊のお約束に依らない「どんな暴投でも必ず理屈をつけて三振をもぎとる」ゆで理論を彷彿とさせる理屈の暴力(そんな納得いかないとまではならないギリギリの暴力)ですが、これはやはり主だったスタッフの相性による要因が大きいでしょう。

東映側のプロデューサーには実写セーラームーンから飛んで捜査一課9係や遺留捜査など刑事ドラマに携わってきた丸山真哉さん。

シリーズ構成相当には世にも奇妙な物語とか、遺留捜査とかNHK荒神とかマジすか学園(これは観れてない…)に参加していた山岡潤平さん。

 近年のスーパーヒーロータイムはドラマ畑の人を呼んで換気しようかって動きがあるようですが初投入される人が多すぎる。上堀内さんだって戦隊撮ったことねぇんだぞ!お前ら待てよ!と思ってたのも懐かしい。

 シリーズ開始当初は「イカれてるけどまぁ遺留捜査の人らしい暗い話だな…」って観てたんですが、とにかく理屈をつけてオトす刑事ドラマスーパーヒーロー・アクション番組ならではのテンプレートをバラして作り直すのに試行錯誤るスタッフの格闘悪魔合体が見事に功を奏したのがこの番組の特長ではないでしょうか。*11時間番組を30分にまでゴリゴリ肉抜きしてるような出で立ち(ロボ戦すらバッサリ捨てる)なのに割と納得できて面白い…どうなっとるんや…

 これらが番組側で調整でき始めたのはワイズルー様登場後の「子供は歌が好きだ!!!」フードンドコドーンが出てくる7~8話の前後編だと思います。

ここから山岡センセイだけでなく各ライターの担当も面白くなっていくのも不思議ですね。ベテラン荒川さんとか最初は(これリュウソウジャーじゃなくて普通の戦隊だ…)だったのに空手回以降はあっさり馴染んでるし、全体的にフレッシュなチームなのに登場人物の描写に結構統一感があるのも凄い。見た目に反した細やかさが伝わってくる…そういうテクニカルなところが嫌いや…

 ある意味カーレンジャーと同じ誰も追随できないタイプの戦隊として駆け抜けてしまった…もう一度似たようなものを味わうには山岡センセイに帰ってきてもらう必要があるでしょう。

ビルドの武藤さんといい、会話劇が上手い人がゴールデン帯以外で活躍するシーンはもっと見てみたいですね。

 

 21世紀戦隊流エルフの物語

 途中までリュウソウジャーはアーサー王伝説的な騎士道ではなく、古代ケルト的な騎士道を想定して作られてるのかなと思ってましたが、最終的には「古代ケルト人/エルフ的な人達による中世騎士物語」に着地していったのが印象的です。

  • 現代に伝わるリュウソウ族の騎士の掟の原点には、現代から中生代にタイムスリップしたリュウソウ族が関わっていた
  • 現代のリュウソウ族も持ち前の凶暴性による案件が生まれていたが、騎士の掟を受け継いだ子孫達が克服していった
  • 最終盤における「誰しも過ちを犯すが、それを乗り越えることはできる」は、1話2話から既に語られていた→テーマそのものは一貫していた
  • つまりリュウソウジャーが使命と同時に仲間を想う気持ちが育ち!それがナダを救う鍵になっていたことも!エラスもふーん理解したわって納得させたことも!全てスタッフの計算通りなんだよ!!
  • Ω ΩΩ

書きたいことが全部東映公式サイトに取られてるので何言ったらいいかもうわかんねぇんだけど…

人類が蚊帳の外でリュウソウ族というエルフ、怪物だと思ったらエルフの亜種だったドルイドン、両方の神だけで話を回してしまった独自性凄いよね…書くことが思いつかねぇ…

 

最終回の感想

  • ワイズルー様が最終決戦というビッグなエンターテインメントをただ眺めて拍手する側にもなったという凄まじい変化を絵でしか説明しないリュウソウ流演出
  • 「失敗から学ぶこともある…」道徳の話からノータイムでフィットネス事業失敗の話に移る長老に脳が追いつかない
  • あれはただのトワではない…光だ
  • 後生だから勇動マックスリュウソウレッド出して♥
  • カナロの乙女な気持ちはわかるけどカナロに矢印向くのはアスナじゃなくてオトちゃんみたいな女子が大半だよね。ところでおはなしCDっていうのがあるんですけど
  • 兄離れより弟離れの方が矯正しづらいのいいよね…
  • ういちゃん帰ってきてよかった…

 

 戦隊シリーズは履歴に書くだけならTVシリーズ全部見てきたつもりですが、21世紀に入って毎週泣かされる羽目になったのはゲキレンジャー(ジャンパパの話)以来だと思います。

なんていうかゴセイジャー仮面ライダーゴースト観てた時と感覚が近いんですよね…土を舐めながらプリミティブな前のめりの努力をやってる姿に弱いというか…一ノ瀬くんや兵頭くんの演技にビリっと感じたのかもしれない。

それが爽やかに完走してしまって現実感薄くてまだどうやって来週を迎えたらわからんけど…戦隊って大体そういうところありますからね。今回かなりクリティカルだったというだけで…とにかく

 

 一年間、お疲れさまでした。

 キラメイジャーも楽しみ!

 

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*1:リュウソウジャーは結構刑事ドラマっぽい空気が濃いとも思います。コウ、アスナ、メルトは波乱の中刑事課にやってきた新米。バンバとトワは既にキャリアを積んでる刑事。カナロは所轄が違うのになんか一緒にいるライバルっぽくないキャリア組。

キン肉マン 第136話 キン肉族を捨てた男!!の巻

 今週の要約:
王家を取り巻くシステムはクソ!! 昔の俺はもう限界!! 更地にしてやりたかったんですけどおおおおおおお!!!!
おっと王家でも兄さんはメチャクチャいい奴だから安心してくれ。
まぁそんな敬愛する兄の孫でもイレギュラーだからお前は死んでね。

兄さんは悪くない

 旧シリーズでキン肉王家の隆盛に欠かすことの出来ない存在としてたまにピックアップされてきたキン肉タツノリが、ここに来てまたも登場。なんとネメシスの兄でした。
地獄をさんざっぱら見てきたネメシスがドコのナニを言うのやらと身構えていたら、明かされたのは肉世界の地球人もやらないようなキン肉王家の闇の闇。ヤベーぞキン肉王家!滅びろキン肉王家!だったのが記憶に新しいのでタツノリはどうなるんだとビクビクしてたけど、ものすごくいい兄ちゃんでホロリときました。

 先週はやけに疾走感溢れるコマのみで仲の良さを語られてたけど、今回は兄弟がどれだけお互いが好きなのかよくわかる絶妙な回想。
この回想だけでご飯四杯いけます。
 「お前の処刑日が決定した」の発言のみで、兄が訪れた意味が分かる弟のニュータイプぶり。
 「慈悲の心が欠けている」の指摘も精神性を否定するのではなく『くれぐれも気をつけろよ』とだけ付け、相手のスタイルを何も否定しない、押し付けがましくもない言い回し。
 弟をまともに救えない自分の情けなさに涙しながらも、別れの言葉には涙ひとつ見せない兄の漢ぶり。

 お互いの言いたいことが分かるし、尊重する者が真心で接してくるからこそ敢えて口を挟まない、今シリーズのテーマとされる『リスペクト』を体現する重要な要素がまた一つ重点された感じです。
ただ転向のきっかけの話をしてるだけなのにめっちゃ重い……

 それにつけても優秀な弟を幽閉して存在も風の噂も封殺に抹殺だわ、兄が実権を握り切る前に弟処刑だわ、こんな善良なタツノリ兄さんを無力感で泣かす元老院ってホントにマジクソクズファックだな!
ゆで描写で割と酷い設定になってるキン肉族王政にクズ機関が補填されたなんてやっぱり更地にしないといけないと思うんですけど!(ネメシス感)

 ちゅーか『俺が王になるべき!』『こんな目にあわせたクズ共許せん!』じゃなくて
『優しい兄貴が王なら政治できない俺は一生牢屋でいい』『こんな高潔な兄貴苦しませるクズ共は皆殺しでいいよね』ってタツノリ好きすぎやろ……
大抵どころかスグル王子すら不幸自慢してもこんなの反論の余地ないし……

これはあのシルバーの……!?

 とりあえず海に行ったネメが出会ったのは2コマで見つかる“聖なる完璧の山”とミラージュマンさん。
相変わらずラスボスみたいな見た目をしてるが今週の彼は完璧にホラー映画に出てくる絶叫モンスター。

 無表情+涙腺の下のライン+返り血+ゴロゴロ転がってる死体は控え目に言っても虐殺マシーンと認定するしかなくて怖すぎます。
将軍級のフィジカルにすごいドリルとすごい幻覚術を備えたミラージュさんは将軍が直接倒さなきゃ戦略が成り立たなかったろうなって雰囲気が数ページで伝わってくるのがグッド。
あっさり負けちゃったけど、やっぱ六騎士がカレイドスコープドリラー食らったらバラバラになって死にそうだよね。

 そしてフォーム一つで袂を分かった昔の同志を思い出す流れがまた実にいい……
なんて仲がいい人達だったの……

フリーダムウォーズの衝動買いは義務です?

 衝動買いしてとりあえずアップデート直前にクリアしました。

 現在は人工アブダクターのキチガイ三連走り込みや二連ジャンプに血管が切れそうになったので
ゴミ資源をゴミしてゴミしながら仲間を強化しています。全部山寺が悪い。

狩りゲーをアレしてアレ

 モンスターハンターとなんかのTPSを組み合わせて出来たゲームです。
でかいオブジェクトに張り付いて身ぐるみを剥がしていく、視覚的快感を満たすことに関しては、かなり優秀で楽しいシステムが搭載されています。
現在インフラは未実装なのでソロプレイ限定ですが、早くみんなで張り付いて別のアブダクターに張り倒されたいです。
アドホック……? 知らない子ですね……

 TPS部分も地球防衛軍などと感覚が近いのでこちらも楽しいですが、NPCのエイム力が鬼すぎる且つそいつらが無限に湧いてくるどうしようもない仕様がキークエスト上にいくつも存在するのが辛いです。
中には独りで無限の軍勢に突っ込んで7秒で焼殺される展開が待っているので、トライ&エラーを繰り返すにも理不尽すぎるかなと。

 とかく、命の軽さにおいてはマーリンの生贄とか神機使いとかを超えるブラックぶりを発揮しており、死にやすさ故の爽快感と共に変な気分になりそうです。

割と面白いNPC

 NPCのエイム力は敵味方関係なく高いので(敵と味方のAIが共有されてる感もある)、自然と同行者の力が欠かせないものになります。
ていうか現状、居ないとやってられません。
 序盤からメインキャストの石田彰に譲治にひろしと声が怪しすぎる人が揃って登場し、現状の終幕にはカッコイイ演舞を披露する諏訪部が速攻で床を舐める展開が待っているなど、キャラの魅力は一定のものがあるかなと思います。
追加ストーリーなどで掘り下げて欲しい要素はそこかしこに用意されているのでかなり続報が待ち遠しいです。
 やってくれないと困る要素がありすぎますけど。
 その石田マティらとカイが意外とかわいくて戦闘も頼りになるので、常に連れて行っちゃいますね。回復荊があるし。
 クーデレなカイさんいいよ。

最大の特長

 一番クエストを共にするバディ、アクセサリを自由に改造できることでしょう。
今作品のパートナーのカスタマイズできる範囲はかなり広く、スタイルはもちろん応答音声も自由に編集できるなど、お人形遊びの新しいステージへ進出したような感覚があります。

 時間さえあれば執事ボイスも罵りボイスも自由自在に作れるということです。左右に振り分けられたらもっといいなと思うけどそれは贅沢すぎますね!
固有のヒロインは居ますが、貢献を続けていく内にいつも主人公の側にいるこいつこそがヒロインや!という咎人もいるんじゃないでしょうか。
なんてったってエンディングでは特定のカットで主人公をジッと見つめましたからね!!
そんなに見られちゃったらしょうがないね!!希望の未来へレディゴー!!!
まぁつまりアクセサリちゃんが目立つ追加ムービーが用意された追加ストーリーの配信を早くお願いします!!
ていうか公式サイトからも要望を送れるように要望を出します!!
矛盾を感じる!!!!

キン肉マン 第87話 弟子の務め!の巻

 隔週連載の傾向も強い中連続更新してくれて真にありがたい……
次回掲載は3月31日です。このペースだとロビンが埋まったまま1年を迎えそうだよ。

変身なんてみっともない戦法はやめるんだ――っ


 「下衆の極み」とまでいう蔑みを開き直りのアピールで返し、不意打ちのモーションに入ったところの教官をモンゴリアンであっさり撃墜するガンマンさん。
“真眼”の新たな性能を見せた後また突然興奮して教官をボコしまくるガンマンさん。(怖い)
今週も割と凄い変則スキルの影が薄くなるほどにフィジカルの強さが強調されていますね。一芸ではなく普通のプロレスからして凄いという絵面を見せつけられると、他のカード以上にコレ勝たせる気があるんですかね、と頭に過っちゃうレベルの教官フルボッコです。
将軍様のスパーリングでぶちかまされた衝撃そのものじゃねえか……!」の発言も合わさり、悪魔騎士6人が闘う奴はまさに一人一人が悪魔将軍クラスの相手であるということをふり返って重点しているのも象徴的。
 しかし相変わらず変身変身言うのは突然消えたおじさんを思い出してしまうのでちょっと加減してほしい。


われらが悪魔の美学

 ガンマンさんの“真眼”が人間に実害を与えているところを「なんてひどいことを」とツッコむ教官。
悪魔と名の付く人のなんと優しいこと……と感じてしまいますが、
肉における“悪魔”って、基本ギミック上のヒールであることを“悪魔超人”として簡略に表現しているのであって、世界制覇を狙う悪の組織とするにはちょっとずれる人達なんですね。


旧シリーズ10巻の解説でも、超人プロレスにおける残虐性が殊更すげぇ!ルール無用でやべぇ!ってことで、人間の生殺与奪よりも超人界でのイニシアチブが何よりも優先される模様。
 金のマスクが盗まれた後に地球を支配する画策があったり、2世での悪行超人の活躍など、ゆでの都合上絶対に人類に害が及ばないわけではないのだけど、
【試合中に観客を攻撃するのはNG】という概念は、属性が違えど暗黙に守られ、現在も結構の割合で通底されていることが教官の一言から窺えます。ルールを守るヒールいいよね……
ガンマンさんはゆくゆくは人間も超人も支配したいので、とりあえず恐怖の将に近い思想といったとこでしょうか。


金のマスクがなくなっただなんて…

 今回でいよいよ正悪VS無量大数軍の時系列と合流。
プロレス実況とテレビアナウンサーを兼ねるとは吉貝アナも忙しい奴だな!


 かつての強敵というか殺された相手がメタメタにやられてる中継模様に大王もビックリ。
 そして、話の流れ的に未だ生温かそうなスプリングマンの生首を抱えているバッファローマンの不敵な台詞をもって今回は閉幕。
次回一週分かけて牛の解説に注力するのであれば、アイドル超人用に説明されるだろう既に提示されてる情報以外にも、読者が知らなかった(まだ読者以外に読めない)要素も出しといてほしいですね。
悪魔超人の招集模様だけでも虫食い状態ですもの。
 さらに変なダンベルを獲得する始祖総当り戦の模様も、ピラミッドリングの面々と視点が合流したことで悪魔騎士全員が勝つ必要性が薄れてきました。
例えば、師匠超えを語るスニゲーター教官が七人の悪魔超人の半ば師匠役であることから、ガンマンさんのタマをとる役をバッファローマン等に譲って死ぬという流れが生成されるのもこれで不思議じゃなくなったんですよね。
教官には生きててほしいのにガンマンさんがやたら強いのがそういう予想に貢献しちゃってて……なんとも良くない。生きて!




美しい将軍蹴り

キン肉マン 第86話 華麗なる“変身”! の巻

 先週は事件だった衝撃の回から間を置かない怒涛の更新(ただの週刊)
ゆでは未だ幼き人類に何を見せるのか……
扉のアレはナニが想定内なのか勘ぐらせてしまう所にゆでと編集の共犯臭を感じずにはいられない!(被害妄想)


あのワニの超人全然動かねぇ

 エルクホルンによる拘束状態のままゴールドマンを遠回しに罵るガンマンに、「将軍とオレ(弟子)の関係を愚弄することは許さねえ」と怒りを顕にするスニゲーター教官。
超人同士の友情を特に濃ゆく描くキン肉マンの定型句「オレを卑下するのは構わねぇが……」も入ってますが、超人タッグトーナメント等【悪魔騎士の方から将軍に愛想を尽かした】描写がある彼らは今回、七人の悪魔超人に勝るとも劣らない忠義で団体抗争に赴いています。
特に発言元の一人であるアシュラマンは、三属性超人不可侵条約に参加しておきながら条約など(考慮はしても)やはり知ったことではないだろう悪魔将軍の下に参戦してるので、勢いのある連載の中結構謎のある台詞になってます。

 既存設定の掬い上げやフォローに事欠かない今シリーズで其の話が挙げられないというのも考えにくく、無量大数軍襲来までの間隙に悪魔陣営で何があったのかゼロから描かれていないので、こちらも今後何らかの動きがありそうです。
そも、何故どのようにゴールドマンが復活したのかという所からその辺放ったらかしなので、描いてくれないと困るんですが……


じゃあ一気に全身まるごと変身しちまえば


 特色の多段変身を旧シリーズ同様のスピードで見せてくれた教官。
全ての爬虫類に変身できる設定持ちですが、今回は旧シリーズの流れを守りつつ装いを変えているようで、謎のペシペシ叩くカメからカミツキガメタケコプター感覚で飛ぶエリマキトカゲからコモドドラゴン等へとチェンジ。浴びせ蹴り気味に攻撃するカミツキガメがシュールです。
 対するガンマンは先読みのスキルを備えてもスピードに対応できなかったものの、全部持ち前のフィジカルで跳ね返すという荒業で試合を魅せてくれました。
これまでミラージュマンから始まりペインマンまで一芸を以て戦う始祖ばかりだったので、シンプルな力技を使うのがまた新鮮。ミラージュマンとアビスマンは拮抗していた同門が相手であり、ペインマンは絶対防御スキルを固持するスタイルなので、これが下等超人と始祖の基礎能力の差かもしれません。
っていうか亀の柔らかい腹の方を狙う! って言った後何もなかったように甲羅を踏み砕いてるんですけど! 盤石じゃん!

 さらに、筋肉の動きや息遣いで行動を予知する“真眼”を教官がどのように封じるのか、解説がないのでちょっと謎ですが、序盤のベース体の教官では対抗できなかったあたり、超視力で察知する当人にとって頭にトレースされてない未知の物事には弱いのかもしれません。
データベースを構築して高度に予想する気象予報士のような能力かもしれないですね。
その能力を教官が封じるように攻撃しても、それ以上の一撃を加え続けるガンマンの基礎体力という二段構えなので、欠点があっても然程問題がない描写になってるのが彼の恐ろしい所ですが






 まぁいろいろ浮かぶ感想も最後で全部頭から消えそうになるんだけどね。

ガンマン
「なぜなら私は 今の己の姿に絶対的な自信を持っているからだ――っ」

 メタネタなのか伏線なのか混濁するしかないこの台詞。
自信満々すぎてホントかーホントに自信持ってるのかー?オーバーボディじゃないかー?って伏線にもとれそうなんだけど、
先週のこやつの所業を浮かべると21世紀史上最も高度なギャグにしか見えなくて辛い!
笑う以外の防御法がとれない!
しゃらくさい! ってかっこよく封じた後なのに此れはホントずるいわ。

対戦カードが教官であることといいゆではさ、マジで狙ってやってないの?
そしてこのデザインが例え単行本で修正されてもされなくても、最早おいしいネタになる段階にまで昇華しちゃってるんだよね。
グチョグチョまで言い出す教官のキャラを念入りに潰しながら躍進していく一ツ目の御姿。
どのような結果になっても間違いなく肉の伝説に残るこの一戦、
気合入れて楽しみたいと思います。
それにしても最後のコモド教官がエロチックだなぁ……